2021年5月23日日曜日

観賞用麦茶?

先日,新入生に対しての研究室紹介がありました

ぜひとも,うまく紹介して花の魅力を知ってもらいたいところです

 

ところで,

私たちの研究室の名前は‘花卉’研究室ですが,‘花卉’という聞きなれない言葉,

‘花’だけであればすんなり理解できるが‘卉’とはなにものか

新入生のモヤモヤを解消するための説明が必要ではないでしょうか.

 

久しぶりに漢字辞典を開いて調べてみると

くさ.草木の総称.とあります

‘卉’はどうやら草を表すようです.

すなわち‘花卉’とは草花を指すのか,これで解決解決と,

そうは問屋が卸さないもの

 

わざわざ回り道をせずとも‘花卉’という言葉そのものを調べればよいのです

漢字辞典に続いて広辞苑を開くと

観賞のために栽培する植物.とあります

どうやら花卉研究においてはこの‘観賞のため’ということばが肝のようです

 

私たちの所属する園芸学部には

トマトやネギ,イチゴなどの野菜を研究する蔬菜研究室,

ナシやブドウなどの果樹を研究する果樹研究室,

イネやムギ,落花生など作物を研究する作物研究室があります

では花卉研究室の対象とする植物はなんでしょうか?

 

正解は草,木を含めたすべての植物となります

それでは,花卉研究室がイチゴやナシ,イネの研究をやればいいのではないか

という結論になってしまいますが,そこで‘観賞のため’という言葉が効いてくるのです

花卉研究では,草木すべての植物を対象としますが,その植物の利用目的が

必ず‘観賞用’でなければなりません.

 

ではここで,面白い例を見ていきましょう

現在,トマトは私たちの食生活にはなくてはならないものとなっていますが

その昔,16世紀のナポリ,日本では江戸時代ごろ,

伝来したトマトはもっぱらその赤い実を楽しむ観賞用の植物として用いられていました.

しかし,ナポリで食用として利用されるようになったのを契機に

現在では食用の野菜として私たち家庭に広く普及するようになりました

つまり,古くは,トマトは観賞して楽しむ花卉園芸植物でしたが

食用化とともに蔬菜園芸植物へと移り変わったのです

 

最近では,蔬菜や作物から花卉園芸植物への逆輸入もみられます

 

ゼンマイは春においしい山菜ですが,最近青山フラワーマーケットなど

おしゃれな花屋では切り花として売られています.

確かにそのくるっとした見た目は可愛いものです

 

今回タイトルとなっているムギもそのひとつ

ムギの品種‘笹の雪’は冬には葉っぱに強い斑が入ることから

若い穂と葉っぱをともに観賞用として楽しむことができます

 

ムギ


麦飯やビールになることなく,観賞用となったこのムギは

まさしく花卉園芸作物なのです

 

さいごに,切り花として収穫しなかったムギを

完熟させてから,収穫しました










観賞用の麦茶であれば,ギリギリ花卉研の守備範囲かな...

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